2023年6月29日
一般質問① フェムテック・フェムケアの推進について
フェムテックとは、女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品・サービスのことを指します。
Female(女性) × Technology(テクノロジー)=Femtech(フェムテック)
<推進する背景>
18歳から49歳までの働く女性の94%は月経関連の症状で仕事のパフォーマンスに影響があると回答し、年間労働損失は4911億円という調査結果があります。
<推進する目的>
- 人口減少の克服につながる
- 労働損失を防ぎ業績向上につながる
- 新たな市場創出による需要拡大が図られる
- つらい、痛い、我慢すればよいという気持ちを解消したい
<解決策の提案として>
本県においてもフェムテック・フェムケアの啓発や具体的な導入支援を進めていただきたい。
産業労働部長の答弁
人口減少が進行する本県において、企業が人材を確保し、持続的に成長・発展するためには、就労の場において女性が持てる力を十分発揮し、活躍し続けられるよう、働きやすい職場環境づくりを進めていくことが重要です。こうした中、働く女性の月経、妊娠、出産、更年期等、女性特有のライフイベントに起因する望まない離職等の課題が顕在化しており、その解決方策として、女性特有の健康問題をサポートするツールであるフェムテックの活用が期待されています。
県としては、さらなる女性の活躍促進に向け、フェムテック・フェムケアの啓発や導入支援等必要な取組について検討を進めてまいります。
令和5年6月定例会 会議録より
◆福田吏江子
フェムテック・フェムケアの推進についてお伺いいたします。
フェムテックとはFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、女性のライフステージにおける生理・月経、妊活・不妊、妊娠期・産後、更年期などの様々な健康課題を解決する製品やサービスのことを指し、そして、女性特有の健康課題に対する解決策や支援策をフェムケアと呼ぶようになってきました。
私が、フェムテック・フェムケアについて言及する理由は、人口減少社会の克服につながること、労働損失を防ぎ、女性の活躍が企業の業績向上につながること、フェムテックという新たなマーケティングの創出による需要の拡大が図られること、そして何より、つらい、痛い、我慢すればよいという気持ちを解消したいからです。
健康医療分野で歴史の深いある国内企業が、2021年に全国の20代から50代、1万人の女性に実態調査を行ったところ、その8割の方が心身の不調を我慢して仕事や家事をこなして、いわゆる隠れ我慢を抱えているという調査結果が出ました。
しかし、個人差はありますが、毎月ある生理痛だからと我慢して当たり前と思って放置してしまうと、場合によっては子宮内膜症の発症に起因するものもあり、激しい痛みで日常生活に支障を来し、その上、不妊症の可能性が高まることで、さらにつらい思いをすることになります。
そこで、今回は特に、生理・月経にまつわる健康課題の解消のため、そして、それに伴う労働損失の解消を目指す支援策の拡充に力を入れていただきたく、質問をいたします。
経済産業省が2020年度に取りまとめた調査である「働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査報告書」によりますと、生理痛や月経前症候群(PMS)といった月経に伴う女性特有の体調不良については、15歳から49歳までの女性のうち、約97%がつらい症状を経験しており、18歳から49歳までの働く女性の94%は月経に関連した症状によって仕事のパフォーマンスに影響がある、45%はパフォーマンスが半分以下になると回答があり、これらを換算すると、日本国内の1年間の労働損失は4911億円に上るという調査結果が出ております。
これは一つの事例ですが、従業員の71・4%が女性で、女性の管理職比率が約50%、女性役員比率が約27%を達成しているある国内企業では、婦人科産業医導入や相談窓口の設置だけでは効果が現れなかったことから、女性従業員の月経随伴症状改善を目的に、オンライン診療にて低用量ピルを処方し、その服薬費用の導入初年度に限りますが、全額負担する支援プログラムを実証導入されました。
その効果として、利用前は、月当たり一人1・5万円あった労働損失額が一人0・5万円に改善するという試算結果を得られております。つまり投資に対するリターンは2倍程度あるものと考えられます。
推計では、2025年時点でのフェムテックによる経済効果は、日本国内でも1年間で約2兆円とされており、月経分野のみでも約2400億円と経済産業省において試算されております。
そして、フェムテック・フェムケアの推進は、企業の生産性の向上にとどまらず、山口県における若い女性の流出に対する解決の糸口となると考えます。
女性が働く中で不安や課題が多い月経、不妊治療、妊娠・出産等に対するポジティブな環境が充実することで、女性からも選ばれる地域になると考えます。
何より、女性が働きやすい環境を整備することは、決して女性を特別扱いすることではなく、そもそもの体のつくりの違いに着目するものであり、労働損失を解消しパフォーマンスの向上を図ることは、企業や社会全体の成長戦略になると考えます。
経済産業省において、フェムテックを活用した働く女性の就業継続支援として、フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金のメニューも用意されております。
また、富山県においても、若い女性の転出超過の課題からフェムテックに着目し、女性の意欲の向上、女性を応援する企業風土の醸成のため、フェムテックを活用した女性活躍推進施策の取組がなされております。
そして、令和5年6月13日に決定された女性活躍・男女共同参画の重点方針、いわゆる女性版骨太の方針においても、フェムテックを利活用し、企業、医療機関、自治体等が連携して行う実証事業への支援を引き続き行うとあります。
そこで、本県においても、フェムテック・フェムケアの啓発や具体的な導入支援を進めていただきたいと考えますが、御見解をお伺いいたします。
◎産業労働部長
フェムテック・フェムケアの推進についてのお尋ねにお答えします。
人口減少が進行する本県において、企業が人材を確保し、持続的に成長・発展するためには、就労の場において女性が持てる力を十分に発揮し、活躍し続けられるよう、働きやすい職場環境づくりを進めていくことが重要です。
このため、県では、働き方改革支援センターのアドバイザーによる女性が働きやすい環境づくりに向けた助言等を行うとともに、女性の多様なニーズに応じた就業機会を創出し、企業とのマッチングを行っています。
また、女性の活躍を応援する企業が行う、女性専用トイレ等の職場環境の整備に対して補助金を交付するなど、女性の職域拡大や就業継続の取組を支援しています。
こうした中、働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性特有のライフイベントに起因する望まない離職等の課題が顕在化しており、その解決方策として、女性特有の健康問題をサポートするツールであるフェムテックの活用が期待されています。
フェムテックの活用に向けて、国においては、月経痛を緩和する低用量ピルのオンライン処方などの実証事業への支援を実施しており、県内においても、周産期鬱病の早期診断に向けた評価ツールの開発などが行われています。
こうした技術が実用化され、女性が働き続けられる環境づくりにつながっていくことが期待されるところです。
県としては、現在実証中の事業の効果測定の結果を踏まえ、さらなる女性の活躍促進に向け、フェムテック・フェムケアの啓発や導入支援等必要な取組について検討を進めてまいります。






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