地域公共交通のリ・デザインについて
2026/3/31
2026年3月11日
一般質問① 地域公共交通のリ・デザインについて
令和8年3月定例会 会議録より
◆福田吏江子
まず、地域公共交通のリ・デザインについてお尋ねいたします。
山口県の令和8年度当初予算案において、地域公共交通のリ・デザイン推進として、山口県地域公共交通ビジョン(仮称)の策定や運転士確保に向けた就業環境整備への集中支援、更なるDX化に向けたシステム整備への集中支援といった官民一体で地域公共交通の将来像を検討・共有されることを示されています。 このたびのリ・デザインは、本県にとって地域公共交通の構造転換を図る重要な機会であると思いました。
私はこれからの地域公共交通を考える上で、これまでの大量輸送や移動の延長線上ではなく、「個別最適な移動」の形が求められていると考えます。どのようなひとにとっても、「自分で自由に移動することができる」ということは、豊かな暮らしの中で大切なことであると思います。
特に、送迎に関するお悩みの声をよくお聞きします。高齢者となった親の病気や介護、子供の学校や部活動などの送迎で疲弊する現役世代の声です。ある会社勤めの女性からは「親の介護と子育てのダブルケアの状況で送り迎えは、現場に出る仕事の夫と会社内にいる自分では結局自分が仕事を抜けて送迎している。介護施設と保育園が同じ場所にあると送迎が楽になるのにと思ってしまう。」というご意見をいただき、また中山間地域に住まわれているご家族からは「子供が学校に行くためにはいったん徳山駅までのバスに乗って、また駅からバスを乗り換えて学校へ向かう。バスだと1時間40分くらい時間がかかり、自家用車だと30分くらいなので親が送迎することが多い。」のだというお話をお聞きしました。また、「部活動の地域展開で放課後の時間に活動場所への送迎が必要になってくるのではないか」というご心配のお声もお聞きします。
また、あるご高齢の男性の方から「プレミアム付商品券を利用したくてもこれまでも近くで使えるお店がなかった。使えるお店まで行くのが大変だから現金の方が嬉しい。」というご意見をいただきました。物価高騰の影響を緩和したいという目的でどなたにも活用いただきたいと思っていても、利用可能店舗が身近にない、あるいは移動が困難であるという理由から商品券を活用できないというように、居住地や移動の制約によって行政サービスの受けやすさに違いがあるということを改めて考えさせられました。
また、医療的ケア児のデイサービスをされている事業者の方からは、自宅から施設まで送迎する運転手さんの存在の重要性についても教えていただきました。
また、ある医療関係者の方から在宅介護の実現についてお話を伺う中でお聞きしたのは、リハビリにより、トイレ動作や食事動作が自立し、自宅内での日常生活が可能なレベルまで身体機能が回復しても、家族による通院や外出の送迎支援が確保できないことを理由に、自宅退院が実現できないケースがあるという現状です。身体機能の回復だけでは在宅生活は成り立たず、家族の支援体制、とりわけ移動手段の確保が大きなハードルとなっているというお話でした。
「移動できない」という課題は、生活問題であると同時に医療経済の問題、医療費の構造そのものに影響するということです。
子供たちの通学や習い事、高齢者の通院・買い物、そして観光・交流人口の移動といった目的別・属性別に最適化された移動設計は、これからの地域公共交通を考える上で必要ではないでしょうか。
地域交通課題への対応のひとつとして、近年、超小型モビリティが注目されています。静岡県浜松市では、ヤマハ発電機と岐阜大学との共同で、中山間地において、低速超小型モビリティを用いた移動支援の実証実験を実施されました。地域活性化と高齢者のQOL向上から、地域の実情に合った高齢者の日常的で自立的な移動手段の実装を目指すものです。また、広島県のスタートアップ企業が開発した1人乗り超小型EV「mibot(ミボット)」(ミニマムなモビリティロボットの略称としてネーミングされた)は地方の未来を支える持続可能な移動を目指すもので、「mibot」の企画・開発者である楠一成氏は「自分たちがやろうとしていることは移動の選択肢を増やすことである。既存の4人乗りや8人乗りの自家用車やバス、電車も含めたいろいろな交通の移動の手段がある中で、欠けているピースを埋めていきたい」と小型モビリティロボット開発への思いを述べられていました。さらに自動運転の取組も始められおり、既存の公共交通との接続といった自宅から接続地点へのラストワンマイルとそのもう少し先を含めた選択肢を考えられているとのことでした。自動運転技術は交通課題の何を解決するために、何のために導入するのかということは重要な点であると思います。
私は、これからの地域公共交通において、送迎や日常生活の移動を支える柔軟な交通サービスの導入というような県民一人ひとりの移動の自由を支える「個別最適な移動保障モデル」の構築が求められるのではないかと考えます。
国土交通省においては、「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開として、複数の自治体・交通事業者等の共同化・協業化やデマンド交通・公共ライドシェア等の移動手段の後押し、観光地の二次交通の高度化・円滑化、自動運転の事業化促進など地域の実情に応じた移動手段の確保・維持の取組を進めるとあります。
県として、地域公共交通の将来像や課題についてどのように考え、地域公共交通のリ・デザインを推進していくのか、ご所見をお伺いいたします。
◎観光スポーツ文化部長
地域公共交通のリ・デザインについてのお尋ねにお答えいたします。
地域公共交通は、地域住民の日常生活に欠かせない重要な基盤ですが、利用者の減少や運転士不足、さらにはこれらに起因する路線の廃止が進むなど、取り巻く環境は一段と厳しさを増しており、地域住民等の移動手段の維持・確保が課題となっています。
このため、県では、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現に向け、官民一体で本県の地域公共交通が目指すべき将来像を検討・共有する「山口県地域公共交通ビジョン」の策定に取り組むこととしたところです。
また、併せて、学生や高齢者をはじめとする地域住民や、観光客等の多様な移動ニーズに応じた交通政策を実施できるよう、県内全域の交通データ等を収集し、可視化・分析できる基盤を構築していきます。
さらに、運転士確保や更なる業務効率化を図るため、短時間勤務職員の第二種免許取得への補助など、これまでの取組に加え、来年度新たに、交通事業者による労働環境の整備や、運行管理システムの導入等への集中的な支援を行うこととしています。
県としては、今後とも、市町や交通事業者等と緊密に連携し、県民一人ひとりの移動を支える交通手段が確保できるよう、地域公共交通のリ・デザインを推進してまいります。
