政策評価へのAI活用について
2025/12/4
2025年12月3日
一般質問③ 政策評価へのAI活用について
令和7年11月定例会 会議録より
◆福田吏江子
政策評価へのAI活用についてお尋ねいたします。
山口県では、「やまぐち未来維新プランの進行管理(政策評価)」にあたり、毎年度実施されている県政世論調査に加え、最重要課題である人口減少の克服に向けて若者・子育て世代へのSNS等を活用した県民実感度調査を実施されておられます。さらに今年度からは、この実感度調査を他の分野にも拡大し、評価への反映や施策の改善、新たな政策立案へとつなげていくと示されています。
県民の視点に立った行政サービスの向上に取り組むことは、とても重要であり、たいへん意義深いものだと考えております。
そのうえで、これら調査の質をさらに高め、より幅広い声を効果的に政策に生かしていくためのアプローチとして、AIの活用を検討していくことは価値のあることだと考えます。
例えばですが、「ブロードリスニング」と呼ばれる意見を集約し、分析・可視化する手法があります。ブロードリスニングの第一の効果は、声の量・質・多様性を飛躍的に引き上げることだといわれています。通常の調査だけでは拾いきれない SNS やイベント会場、窓口相談など、多様な情報源からの県民の皆様からの直接の声を広範に集め、AI が自動で分類・整理していくことで、これまで見えにくかった県民の潜在的な課題や、特定世代だけではない幅広い層の考え方を把握することができるのだと知りました。ブロードリスニングは、実感度調査との相乗効果も期待でき、政策の立体的な分析につながるのではないかと考えます。
また、政策評価にかかる作業負担の軽減も見込めます。自由記述やSNSの意見を人の手で分類することや読解していくことは大変な労力であると認識しておりますが、AIの活用によって、分析のベースを迅速に作り出すことが可能となり、県民の皆様から寄せられた貴重な意見を「読む作業」よりその意見から見えてくることを「考える作業」に時間を割くことができるようになり、政策の質がさらに向上するといわれています。
また、KPIの見直しにも生かせると考えます。KPIは施策の到達点を客観的に把握でき、進捗管理がしやすい一方、数値化しづらい県民の思いが反映されにくいことや行政側が想定した項目が本当に県民の関心と一致しているのかが見えにくいといった形式的な数値管理になってしまう恐れが指摘されています。ブロードリスニングを活用し、多様な情報源からの意見の集約・分析をもとにしたKPIの妥当性の再検討や県民視点をより反映した新指標の追加をすることも可能になると考えます。
東京都では、2050年代を見据えた新たな長期戦略である「シン東京2050」策定に向けたプロジェクトにおいて、新たな戦略を都民の皆様と一緒に作り上げていくためにブロードリスニングを活用した意見募集を行われました。意見募集の手段としてGoogleフォームやXでの投稿、Youtubeへのコメント、Eメール、郵送、そして上野動物園等での街頭インタビューから集められ、「デジタル媒体を活用することで、普段行政との接点が少ない方からの意見も収集でき、特定の視点に偏らず、社会に存在する多様な意見を集めることができた。」と評価をされています。
本県では、今年度から県民実感度調査を他分野に拡大され、県民の視点を取り入れた行政サービスの向上を図る取組を進められています。対象分野が増えるほど、自由記述・意見量も増加し、多様性も広がることが予想されます。調査分野を広げている今だからこそ、AI による意見のトピック整理や、年代・地域ごとの傾向分析といった“声の見える化”を導入する意義があるように思いました。こうした分析により、政策課題の構造がこれまでよりも明確になり、施策の改善ポイントを早期に把握できる可能性があると考えています。
そこでお尋ねいたします。
本県では、これまでも政策評価の充実に向けてさまざまな工夫を重ねてこられ、より広く県民の皆様からのお声を聞き、丁寧に施策へと反映されてきたと感じております。この取り組みをさらに高度化、深化させる可能性が考えられる手法の一つとして、政策評価へのAI活用についてどのようにお考えでしょうか、ご所見をお伺いいたします。
◎総合企画部長
政策評価は、様々なプロジェクトの進捗状況や課題を把握し、その結果を施策の改善や見直しにつなげ、県民の視点に立った行政サービスの向上を図ることを目的としており、その実施にあたっては県民の多様な意見を的確に把握し、分析する必要があります。
このため、従来から実施している県政世論調査に加え、昨年度から、新たにSNS等を活用した県民実感度調査を行い、調査で把握した県民の意識やニーズの傾向を分析し、その結果を政策の評価に反映させています。
こうした意見等の集約・分析には、多くの労力と時間等を要することもあり、本県でも、進展が著しい生成AIの技術を用い、県民から寄せられた様々な意見について、多角的な観点から効率的に集計・分析を行っているところです。
お尋ねのブロードリスニングは、SNS等で寄せられた幅広い、膨大な意見を、AIで自動的に分析し、その結果を可視化することで、潜在的な課題の把握や新たなニーズの発掘などにつながるとされ、一部の自治体で活用が始まっていると承知しています。
一方で、SNSには様々な観点からのデータが得られる利点があるものの、それらの意見は年代等の属性が不明なものが多いことに加え、意見に偏りが生じるおそれもあります。
また、ネット上に誤った情報が投稿された場合には、その情報が、そのまま結果に反映される可能性もあるなど、活用にあたって、留意すべき課題があると考えています。
こうしたことを踏まえ、県としては、技術の進展や他の自治体の取組状況等も考慮しながら、本県の政策評価におけるAIのさらなる活用について検討を進めてまいります。
