空間情報資産の利活用について

2026/3/31

2026年3月11日

一般質問② 空間情報資産の利活用について

   

令和8年3月定例会 会議録より

◆福田吏江子

 空間情報資産の利活用についてお尋ねいたします。

 現在、山口県では航空レーザー測量等で取得した3次元点群データなどの「空間情報資産」を既に保有され、主に土砂災害リスク解析や河川氾濫解析、公共土木施設の維持管理などの土木分野で活用が進められています。

一方で、土地の境界を確定する地籍調査の話になりますが、県全体では約64%と

全国平均を上回る水準にあるものの、市町間で進捗にばらつきがあり、特に周南市では進捗率が約18%にとどまっている状況です。市街地の複雑性や財政・人員体制など、様々な事情があると推察いたしますが、地籍の未整備は、用地取得の長期化、災害復旧の遅延、将来のモビリティ導入時の調整コスト増大につながる可能性があると考えられます。「国土調査事業十箇年計画」の中間見直しに向けた委員会報告書では、地籍調査の円滑化・迅速化と地理空間情報の利活用の推進が明記されており、さらに、「国土交通白書」では、地籍調査の進捗が災害からの迅速な復旧やインフラ整備の円滑化等に貢献することが示されています。

 また、先ほどの地域公共交通のリ・デザインについての質問の中で、今後の地域公共交通は、単なる路線再編や運行効率化にとどまらず、県民一人ひとりの生活課題に寄り添う「個別最適な移動保障モデル」へと進化していく必要があるのではないかということを述べさせていただきました。そして、このような高度なサービスの実現には自動運転やデマンド交通、超小型モビリティ、ライドシェアなど次世代モビリティの導入も欠かせませんが、これを安全に、効率的に、そして持続可能な形で実装していくためには、運行制度や事業スキームだけでなく、それら支えるセンチメートル級の高精度地図や統合された空間情報基盤が必要不可欠となり、道路幅員や歩道との関係、建物や私有地との境界、安全に停車・乗降できる位置、災害時の通行可能ルートといった情報が統合的に把握されている必要があると言われています。実際に、県と周南市、さらにNTT西日本および防長交通が連携して周南市の市街地で行った自動運転実証実験では、走行ルート全域を撮影し、三次元点群データや空間情報を実証車両で活用できるよう加工した上で、車両搭載センサーの情報と突合することで、実際の道路環境における走行可能領域を精密に把握する手法が取られました。国土交通省の「地域公共交通のリ・デザインの全面展開」においても、交通空白の解消やデマンド交通、自動運転の導入促進が掲げられており、そのためには「統合された空間情報基盤」が必要とされます。

 私は、様々な分野において取組の効率化・高度化に寄与する空間情報資産の利活用を積極的に進めるべきと考えており、利活用の例として挙げた地籍調査や地域公共交通など、様々な分野への利活用に繋げていくため、まずは現在先導的に進められている土木分野の取組をさらに進めていく必要があると考えます。また、県によりこうした取組を進めることは、単独での対応が難しい市町の支援、取組格差の是正にも繋がるものと考えます。

そこでお尋ねいたします。

県として、3次元点群データなどの空間情報資産の利活用についてどのように進めておられるのか、また今後どのように進めていかれるのか、ご所見をお伺いいたします。

◎土木建築部長

空間情報資産の利活用についてのお尋ねにお答えします。

県では、土木分野において、「山口県建設DX推進計画」に基づき、建設現場の生産性向上や、インフラメンテナンスの高度化・効率化などに取り組んでいます。

具体的には、まず、建設現場の生産性向上については、3次元モデルを活用して、測量・設計、施工、維持管理を行うなど、ICT技術を用いた工事等を推進しているところです。

次に、インフラメンテナンスの高度化・効率化については、3次元点群データを活用して、離島架橋などの変状や、河川地形の変化などを計測することで、施設の状況等を的確に把握し、適切に対応しているところです。

さらに、こうした取組が県内市町にも広がるよう、市町職員を対象にしたセミナーの開催や、県が開発した橋梁の点検・診断システムの提供などの技術的な支援を行っています。

今後は、3次元点群データの活用により、用地取得に係る土地の境界確認の円滑な実施や、道路管理の基礎となる道路台帳の効率的な作成などの取組を行うこととしており、これにより土地の形状や境界に関するデータ、道路の幅員や外側線・中央線等のデータが得られることとなります。

これらの取組により取得したデータは随時公開することとしており、将来的に、様々な分野で3次元点群データなどの空間情報資産が利活用されることも期待されます。

このため、県としては、まずは、こうした土木分野での取組を進めることとしております。

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