医薬品等の供給体制について
2025/9/25
2025年9月25日
一般質問⑤ 医薬品等の供給体制について
令和7年9月定例会 会議録より
◆福田吏江子
最後に、医薬品等の供給体制についてお尋ねいたします。
山口県は、へき地医療対策の対象地域面積が県土の約60%を占めており、県人口の17%に当たる約23万人の方々が生活していますが、その高齢化率は58.7%(山口県離島振興計画による)と、山口県における高齢化率35.5%(第6位)を大きく上回っており、中山間地域や離島では高齢化と医療・介護の課題は深刻化しているといえます。
高齢化が進む中でも地域包括ケアシステムの推進による医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供し、住み慣れた地域で暮らし続けられる仕組みづくりが求められています。 その中で、このたび、年齢が上がるにつれて使用している薬の種類が多くなる傾向がみられることに着目しました。
厚生労働省の調査によりますと、特に65歳以上では約40%の方が、80歳以上では約60%の方が一日あたり7種類以上の薬を使用しています。 高齢者人口の増加に伴い、特に、多剤投薬や重複投薬の高齢者に対しては、かかりつけ薬剤師による継続的な服薬情報の把握と管理が重要であることからも薬局・薬剤師が、地域包括ケアシステムの一員としてますます重要な役割を担うと認識しております。
しかしながら、特にへき地医療のための保険薬局は、薬局数の減少や薬剤師の高齢化により、医療資源の確保が困難な状況になっております。
県薬務課の調査によりますと、令和6年12月時点で、保健医療圏別のへき地の保険薬局数は、岩国医療圏で6、柳井医療圏で28、周南医療圈で1、山口・防府医療圏で4、宇部・小野田医療圏で12、下関医療圏で16、長門医療圏で21、萩医療圏で28となっております。
そのため県では、各地においてオンライン診療の導入を進められる中で、医師・薬剤師不在の診療所でのオンライン診療後に看護師が薬を渡すことは原則不可となっていることを踏まえ、へき地等で薬局が近くにない薬局空白地域における医薬品等の提供体制を確保するためICTを活用したオンライン服薬の導入支援を令和6年度から進められ、遠隔での服薬指導を可能にすることで、医療アクセスの確保を図られています。
本県は21の有人離島もあり、薬局空白地域が存在する本県においては、今後も高齢化が進む中でニーズは高まることと思いますので、すみやかに県内全域での医薬品等の供給体制を整えていくことを進めていただきたいと考えます。
また、平常時のみならず災害時においても医薬品供給体制の構築は命にかかわる課題です。 登半島地震におきましても、ふだん服用していた薬が飲めずに亡くなったとみられた複数名の方が災害関連死の疑いがあるとして報告されています。 災害対策基本法に基づき、防災計画で定める医療救護活動を行うことは県の責務であることから、災害薬事体制を整備していくことは重要なことであると考えます。
厚生労働省は、災害時において都道府県や市町村の保健医療活動における薬事課題を解決するため、被災地の医薬品や薬剤師、衛生情報把握。マッチングを行う薬剤師を災害薬事コーディネーターとして定めています。
災害薬事コーディネーターは、平常時から都道府県の薬事。 衛生体制に詳しく専門研修を受け、災害時に関係機関と連携できることが望ましいとされています。また、都道府県はこれら災害薬事コーディネーターの知識や技能向上を目的とした研修の実施することが定められています。 有事においても薬が必要な方に確実に届け命を守る体制を整えるためにも災害薬事コーディネーターのさらなる養成や研修は、本県においても重要な取組であると思っております。
また、災害時の移動薬局車両のモバイルファーマシーは、東日本大震災での数々の教訓と知見から宮城県薬剤師会が考案、 開発をした移動薬局で、ライフラインが途絶える中でも自立して医薬品の調剤や供給、健康相談業務を行うなど薬剤師や他の医療従事者の活動拠点となるものです。熊本地震や能登半島地震においても被災地以外の都道府県からの派遣なども含めその活動実績が報告されています。
このモバイルファーマシーは、現在、「薬剤師は特別な事情がある場合を除き、原則として薬局以外での販売、授受の目的で調剤してはならない」と薬剤師法で定められていることから、平常時における活用方法が限られたものとなっておりますが、岐阜市において、モバイルファーマシーを用いて保険薬局が存在しない医療過疎地で保険調剤を行う実証事業が行われています。
将来的には、災害時のみならず平常時で活動できるような法改正を経て、へき地や過疎地での移動薬局として地域医療を支える役割を果たすことを期待したいと考えます。 いずれにしましても、平常時においても災害時においても薬事体制が確保されていることは県民の皆様の安心につながることと思っています。
そこでお尋ねいたします。
平常時においては、薬局が遠隔地にある患者さんや移動因難な高齢者も適切な薬学的管理や指遵を受けられる体制をより拡充していくこと、また、災害時においては医薬品等を確保し必要とする場所や被災者に届けるための体制の整備が重要と考えますが、医薬品等の供給体制の確保や充実について県としてどのように取り組まれているでしょうか。お伺いいたしまして、私からの一般質問といたします。ありがとうございました。
◎知事
福田議員の御質問のうち、私からは、医薬品等の供給体制についてのお尋ねにお答えします。
地域において安全で質の高い医療を提供するためには、平常時や災害時にかかわらず、県内どこにおいても、薬剤師による管理・指導のもと、必要な医薬品が患者に届き、適切に使用される体制を確保することが重要です。
このため、私は、第8次保健医療計画に基づき、へき地等の、薬局がない地域におけるオンライン服薬指導の導入支援に取り組むとともに、緊急医薬品の備蓄やお示しの災害薬事コーディネーターの確保など、災害時の医薬品等の供給体制の構築に取り組んでいるところです。
まず、へき地等のオンライン服薬指導の導入支援については、導入の必要性や進め方に関する理解を促すため、今年、全国に先駆けて独自に、導入のための手引きを作成し、市町担当者や医療従事者等、多くの関係者に配布の上、説明会等を開催して、積極的な支援に取り組んでいるところです。
また、オンライン服薬指導を受ける高齢者等が支障なく機械の操作ができるよう、患者がスムーズに薬剤師と対話できる支援システムを合わせて開発したところであり、今後、実施場所となる公民館や郵便局などでの活用を市町に提案し、オンライン服薬指導の導入を促進してまいります。
次に、災害時の医薬品等の供給体制の構築については、県立総合医療センターに緊急医薬品を備蓄するとともに、山口県薬業卸協会等の関係団体と、被災時に優先的に流通医薬品等を県に供給するための協定を締結しており、十分な量の医薬品を確保しています。
また、災害薬事コーディネーターが災害時に的確に対応できるよう、市町、県薬剤師会、医薬品卸業者等と合同で、医薬品が不足した状況を想定して、正確に情報伝達を行い、必要な場所に医薬品を配達する訓練を毎年実施し、関係団体等との連携強化や資質向上に努めています。
さらに、能登半島地震の経験・教訓を踏まえ、発災直後から中長期にわたり継続して活動するための体制強化が必要であることから、県薬剤師会等と連携して養成研修を実施し、災害薬事コーディネーターのさらなる増員・確保を図ってまいります。
私は、平常時や災害時にかかわらず、県内どこにおいても必要な医薬品を、適切かつ迅速に県民の方々に供給できるよう、市町や関係団体等と連携しながら、医薬品等の供給体制の充実に取り組んでまいります。
