こどもの居場所づくりについて

2026/6/30

2026年6月25日

一般質問② こどもの居場所づくりについて

   

令和8年6月定例会 会議録より

◆福田吏江子

こどもの居場所づくりについてお尋ねいたします。

共働き世帯の増加に伴う家庭環境の変化や放課後や休日の過ごし方の多様化、さらにはデジタル環境の急速な普及など、今日における子どもたちを取り巻く生活環境は大きく変化しております。

その中で、特に心配されるのが間もなく迎える夏休み期間です。

毎年、保護者の方々からは、お昼ごはんの準備や子どもの預け先の確保など、夏休み期間中の対応に苦慮しているとの声を多くいただいています。とりわけ、平日においては、祖父母世代であっても60代で就労している場合が多く、不在となる家庭も少なくありません。また、児童クラブについても、施設が手狭で利用児童数が多いことから、小学2年生頃を境に利用をやめるケースが見られます。こうした状況の中で、母親が子どもや家庭の事情により休業や就業調整を余儀なくされ、資格や経験があっても働き方の変更を迫られるといった影響も事実生じています。

学校がある期間は、子どもたちは給食による栄養確保や友人・教職員との交流機会がありますが、長期休業期間中はそうした日常の環境から少し離れることになります。

子どもたちにとって夏休みは本来、楽しく成長できる時間であってほしいと思っています。

しかし一方で、家庭環境や経済状況によっては、最も支援が届きにくい期間ともなっています。私は、現代社会においてそもそも夏休み期間が長すぎるのではないかという思いもあります。

夏休み終盤から新学期にかけて、子どもたちの精神的不安や自殺リスクが著しく高まることも文部科学大臣からのメッセージが発信されるほど社会的な課題としてなっています。

夏休みが子どもたちにとって過酷な環境となっていること、なぜここまで子どもたちが追い詰められなければならないのか。長さの問題なのか、それともサポート体制なのか、その根本的なあり方自体を今こそ見直すべき時期に来ているのではないかとも強く感じております。

民間団体の認定NPO法人キッズドアが昨年行った夏休み後の調査では、夏休み期間の生活がふだんの生活より大変だったという回答が8割を超えており、子どもの成長とともに増える食事の量や学校以外の居場所の不足、学校外での学習の重要性の高まりなどがあることが示されています。所得が低いご家庭ほど深刻さは増していますが、所得300万円以上のご家庭にも広がっていることも確認されています。

特に近年の酷暑は子どもの健康に深刻な影響を及ぼしており、エアコン使用による光熱費の負担増加や食料価格の高騰により、家庭によっては子どもたちの生活環境が厳しさを増しています。

このような状況から先般5月15日に、こども家庭庁をはじめとする関係省庁が各自治体向けに「夏季休業期間中の酷暑対策及び食支援に係る各施策の活用について」の依頼を発出し、「子どもが安心して涼しく過ごせる居場所の確保」と「食支援」を一体的に実施するとともに、さらに拠点に行くことが難しい子たちにはアウトリーチ型支援を行うよう呼びかけており、既存の国の制度や補助金等も柔軟に活用した地域の実情に応じた切れ目のない子ども支援を展開することが示されています。

私は、これからの子どもの居場所づくりは「命を守る施策」であると考えています。

酷暑から子どもを守る。給食のない期間の食を支える。孤立を防ぐ。学びを支える。

そして新学期へとつなげる。

こうした支援を一体的に実施するため、県として、子どもの居場所づくりや食支援、学習支援そして見守り支援を総合的に推進することは大変重要であると考えます。

また、子どもの居場所づくりや食支援は少年犯罪の未然防止にもつながっています。

法務省矯正局が少年院在院者に対して行った特別調査や様々な支援団体が実施した聞き取り調査の報告書等を読みますと、子どもが犯罪に染まってしまう背景にはいくつかの共通した「孤立のサイン」があり、「家にいても自分の居場所がなかった」「お腹がすいていて、食べさせてくれる先輩について行った」「誰も自分を認めてくれなかった」といった家庭の経済的困窮や機能不全、学校や地域からの孤立などによって、「自分の居場所がない」と感じている子どもたちの存在がありました。

近年、大きな社会問題となっている「闇バイト」をはじめとする組織的犯罪は、まさにこうした居場所を失い、孤立し、SNSの世界がより身近となっている子どもたちの心に巧みに付け込んでいることが考えられます。

山口県警察が発表している『令和7年(2025年版)少年非行の概況』では、非行少年全体は4年連続で増加し、特に刑法犯少年は昨年より約8割増加していること、また触法少年は全体で3年連続増加しており、低年齢化も進んでいることが報告されています。本県の子どもたちがこうした犯罪の被害者、あるいは加害者になる恐れは決して他人事ではありません。

子どもたちを社会的な孤立から救い出し、犯罪から守るためにも、安心して過ごせる「リアルな居場所」が不可欠であると考えます。

 先日、周南市内でこども食堂を運営されている方々から、子どもたちの居場所づくりについてのご意見をお聞きいたしました。共通していたのが、部活動の地域展開に係る中学生の居場所について言及されたことです。これまでは小学6年生まで来ていた子も中学生になると来なくなり新しく小学一年生になった子たちが入ってくるという流れで循環していたことが、この4月から急に感じ始めたのは中学1年生がそのまま来ているということ、中学1年生の子たちの居場所がなくなっているからではないかという実感です。

また、子どもたちにとってファーストプレイスである家庭がしっかりと機能していることが大事であることも見逃してはならないことであるとご指摘いただきました。家庭に居場所がないということは根本的に解決していかないといけないことであり、民間の活動であるサードプレイスのボランティアの皆さんが頑張ったらよいというのではなく、どのような形が子どもたちにとって、本当に正しい良いことなのかを常に考えて見失わないように取り組んでいきたいという運営の想いもお聞きしました。

そこでお尋ねいたします。

 子どもたちを取り巻く生活環境の変化が著しい中で、安全で安心できる子どもの居場所づくりは子どもたちの健全な成長に寄与する重要な取組であると考えますが、県としてどのように取り組みを進められているでしょうか、ご所見をお伺いいたします。

 

◎健康福祉部長

子どもを取り巻く環境が大きく変化する中、全ての子どもが、安全で安心して過ごしながら、心豊かに成長するためには、こどもまんなかの視点に立ち、社会全体で子どもたちを支えていくための環境づくりが重要です。

このため、県では、昨年3月に策定した「やまぐち子ども・子育て応援プラン」に基づき、市町や関係団体等と連携した子どもの居場所づくりを展開しています。

具体的には、食事や学習機会の提供により、子どもが安心して過ごせる「こども食堂」の開設に向け、県内9か所に配置した居場所づくり推進コーディネーターが、きめ細かな相談・助言や担い手の育成等を行ってきた結果、令和7年度末までに215か所が開設され、県下全域に広がっています。

また、全ての子どもたちが、それぞれの居場所を持つことができるよう、子どもや子育てを身近で支える民間団体や行政機関等が連携・協働して、食や学びのほか、スポーツや自然体験など、個々のニーズに応じた様々な居場所に繋げる取組を行っています。

こうした中、近年の記録的な猛暑による熱中症リスクと、物価高騰等による食事確保への懸念が高まっていることから、本年5月、国から、夏休み期間中の子どもが安心して涼しく過ごせる居場所の確保と食支援の一体的な取組等の推進について依頼があったところです。

これを受けて、県では、居場所づくりに取り組む方々を対象に、涼しく快適な過ごし方の事例等を紹介するセミナーを開催するとともに、民間団体による食品の巡回配布などの支援情報が、必要な家庭に確実に行き届くよう、社会福祉協議会などの関係団体等と連携し、周知することとしています。

また、市町等においても、今年度、新たに、地域交流センターなどの公的施設の一部開放や、こども食堂の開催回数の増加、開所時間の延長など、夏休み期間における支援の充実に向けた準備が進められているところです。

県としましては、今後とも、市町や関係団体等と連携して、本県の未来を担う子どもたちが、心身ともに健やかに成長できるよう、安全で安心して過ごせる居場所づくりに取り組んでまいります。

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