AIの社会実装の促進について

2026/3/31

2026年3月11日

一般質問④ AIの社会実装の促進について

   

令和8年3月定例会 会議録より

◆福田吏江子

AIの社会実装の促進についてお尋ねいたします。

現在、山口県では、NTT が開発する国産大規模言語モデル「 tsuzumi 2 」を活用した自治体業務の実証実験に取り組まれております。私は、この取り組みは大変意義深いものであると捉えております。行政の現場において国産生成AIの活用可能性を具体的に検証することは、単なる業務改善の枠を超え、我が国の技術基盤の強化に資する重要な試みであると考えます。

世界において、生成AIを巡る熾烈な競争の時代に入っております。生成AIは、行政効率化にとどまらず、産業構造の高度化、研究開発の加速、医療・教育分野の質の向上など、社会全体の生産性を底上げする基盤技術として位置づけられています。主要国はこれを経済安全保障上の重要技術と明確に位置づけ、巨額の財政支援や制度整備を進めております。

一方で、我が国においては、基盤モデルやクラウド環境の多くを海外企業に依存している現状があります。この状況は短期的には利便性をもたらしますが、長期的視点に立てば、情報主権の確保や国内産業の競争力強化の観点から、国産技術基盤の確立を急ぐ必要があると考えます。

政府は「AI戦略」や「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、AIを“我が国の成長と競争力の源泉”と位置づけ、特に国産大規模言語モデルの開発支援、計算基盤の整備、国内データの活用促進を重点施策として掲げております。また、経済安全保障の観点からも、重要技術の自律性確保とサプライチェーンの強靱化が明確に示されております。

とりわけ、生成AIの基盤モデルについては、日本語性能の高度化、安全性・信頼性の確保、透明性の担保が強調されており、これは単なる技術開発にとどまらず、国家戦略上の重要課題であることを意味しております。経済産業省や総務省が中心となり、国内基盤モデルの高度化を後押ししていることは周知のとおりであります。

こうした国家的な取り組みが進む中で、地方自治体の役割も決して小さくないと考えます。行政実務の現場で国産生成AIを活用し、その実装力や安全性を検証し、改善を重ねていくことは、結果として国産技術の成熟度を高めることにもつながります。また、自治体が率先して国産技術を活用する姿勢を示すことは、市場全体に対する明確なメッセージともなり得ます。

私は、日本の持続的な成長と地方の自立的発展を実現するためには、国産生成AIの育成・強化が不可欠であると考えます。その観点から、山口県としても、国産生成AIの積極的活用を今後の行政運営の中でどのように位置づけていくのかが重要であると考えます。

そこでお尋ねいたします。

AIは、経済安全保障や情報主権の確保、さらには将来世代の地域産業競争力の観点からも極めて重要な技術であると考えますが、国が進めるAI戦略等としっかり連携しながら、山口県として今後、どのようにAIの社会実装の促進に取り組まれデジタル改革を進めていくお考えでしょうか?ご所見をお伺いいたします。

◎知事

AIの社会実装の促進についてのお尋ねにお答えします。

 AIは、創造力や発想力を高めるとともに、日常生活の利便性や仕事の効率性を大きく向上させる役割が期待されており、私は、これを県づくりの幅広い分野で積極的に活用していくことが重要と考えています。

このため、本県では、「デジタル改革基本方針」にAIの活用を盛り込み、公共インフラの維持管理をはじめ、利便性の高いデマンド交通など、全国に先駆け、数々の取組を進めてきました。

さらに、今年度からは、民間企業での導入・活用の促進に向け、Y-BASEの伴走支援体制を強化しており、熟練技能の円滑な承継に寄与する活用モデルが誕生するなど、成果が現れてきているところです。

一方で、先般策定された国の「AI基本計画」に示されているように、投資の出遅れなどにより、我が国では、諸外国に比べ、AIの実装が遅れている現状があります。

また、現在利用されているAIの多くが外国製のため、日本語特有の曖昧な表現等の理解が難しく、意味検索の精度が低下したり、不自然な文章が生成される等の課題も指摘されているところです。

こうした課題を克服し、AIの活用と技術革新との好循環を創り出すため、国において、AI活用を加速的に推進するとともに、経済安全保障の観点から、国産生成AIの開発・活用に取り組むとされており、本県としても、こうした方向性に沿って取組を進めることとしています。

AI活用の加速に向けては、来年度、機密情報も扱える機能を有し、日本語性能が高い大規模言語モデルを備えた生成AIを庁内で本格導入し、業務活用の幅を拡げるとともに、生成AIの効果的な利活用に資するデータ基盤をY-BASEに整備し、市町も活用できる環境を整えます。

また、国産生成AIについては、専門性の高い相談にも的確に対応していけるよう、引き続き、「tsuzumi2」を活用し、社会福祉分野等での業務の実装に向けた取組を進めます。

私は、AIをはじめとするデジタル技術の実装による地域課題の解決等の取組を着実に進め、人口減少が進む中にあっても、県民誰もが住み慣れた地域で、便利で快適な暮らしを続けられるよう、デジタル改革を推進してまいります。

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