一般質問

熱中症対策の強化について

2025年6月26日

一般質問① 熱中症対策の強化について
  • 熱中症による死亡者数は増加傾向
  • 2024年4月、改正気候変動適応法施行 ➡地方公共団体、事業者、国民の役割が明確化され、熱中症対策の強化が図られた。
  • その一環で、労働安全衛生規則が改正、2025年6月に施行 ➡職場での熱中症の早期発見と迅速かつ適切な対処、その体制整と実施手順作成、関係者への周知が義務付け

熱中症は、重症化すると命にかかわり、後遺症を残すこともあり、誰にでも起こりうることです。庁内の関係部署や市町、関係団体等が連携し、必要な情報を県民に届け、熱中症に対する意識をより高めていくことが重要ではないでしょうか。

これから酷暑シーズンを迎え、熱中症による健康被害が大いに警戒される中、県は今後、熱中症対策にどのように取り組まれるのかお伺いします。

山口県知事の答弁

近年の気候変動の影響により、熱中症による健康被害が増加傾向にあり深刻化も懸念される中、県民の安心・安全を守るためには、熱中症対策の強化を図ることが重要です。

【熱中症対策について県の取組】
  1. 庁内連携組織の立ち上げ ➡関係課が連携し、効果的に熱中症対策に取り組む体制をつくり、県民への情報提供や予防対策に取り組む。
  2. 職場における熱中症対策強化 ➡労働局や関係団体と連携して取組の徹底を図る。県民局の中小企業労働相談員による事業所への巡回訪問等を通じて周知啓発を行う。
  3. 施策支援に関する事業者等からの問い合わせ ➡県の制度に加え、相談内容に応じて国や市町の制度も紹介し丁寧に対応。
  4. 情報提供 ➡熱中症の基礎知識や予防方法など県のHPでの発信、熱中症警戒情報など重要情報を迅速かつ確実に届くよう、市町と連携した伝達体制の構築。
  5. 熱中症予防 ➡民間企業と連携したキャンペーンの展開。「暑さ指数」を測定できる機器の貸出を開始。
  6. 県庁内 ➡熱中症対策に迅速かつ適切に対処できるよう、体調不良者を発見した場合の連絡体制や身体冷却等の対応手順を所属ごとに整備するとともに、職員に対しても予防対策の徹底を図る。

今後とも、熱中症による県民の健康被害の防止に向け、民間企業や関係団体、国・市町と連携して、熱中症対策の強化に取り組んでまいります。

 

令和7年6月定例会 会議録より

福田吏江子

熱中症対策の強化についてお尋ねいたします。

今年の3月、世界気象機関が2024年の世界の平均気温が過去最高となったとの報告を行いました。産業革命前と比較した上昇幅は1.55度で、これまでの過去最高であった2023年を0.1度上回ったとのことで、地球温暖化がますます進行している状況です。

地球温暖化による影響は、異常気象による自然災害の頻発や生態系の変化、農業や水産業への影響など様々ありますが、私たちの生活に身近なリスクとして深刻化しているのが熱中症です。

近年、熱中症による死亡者数の増加傾向が続いており、年間1,000人を超える年も発生するなど深刻な状況となっています。こうした中、昨年4月に改正気候変動適応法が施行され、国はより積極的に熱中症対策を進めています。

この改正法では、熱中症対策実行計画を法定計画に格上げし、関係府省はもとより、地方公共団体、事業者、国民の役割などが明確化され、全ての関係者が熱中症予防行動を理解、実践するなど、熱中症対策の一層の強化が図られることとなりました。

そして、こうした一連の対策強化の一環として、今般、労働安全衛生規則が改正され、令和7年6月1日から施行されました。職場において、熱中症の恐れのある労働者の早期発見と迅速かつ適切な対処ができるよう、その体制の整備と必要な措置の実施手順の作成、関係作業者への周知がすべての事業者に義務付けられることとなっております。

この度の改正の背景には、全国で職場における熱中症による死亡災害が2年連続で30人レベルとなり、気候変動の影響からさらなる増加が懸念されていることがあります。また、厚生労働省の熱中症死亡災害の103件の分析結果によりますと、「発見の遅れ」が78件、「異常時の対応の不備」41件となっており、「初期症状の放置・対応の遅れ」が見られることが示されております。

山口県内においても、令和5年に3名の方が、令和6年には1名の方が職場における熱中症により亡くなられており、また、熱中症による休業が4日以上となった労働災害が、令和5年度で7件、令和6年度で24件発生しています。その年齢も20代から70代と幅広く、どの年齢の方にとっても気をつけなければならないことといえます。

この度の改正を受け、山口労働局をはじめ各業界団体において、また各報道機関からも熱中症対策強化に向けた周知が進められているところであり、その認知度も高まってきていると感じます。

帝国データバンクが5月21日に発表したレポートによりますと、アンケートをとった企業の55.2%と半数以上が熱中症対策の義務化を認知しており、特に建設業界においては79.3%と8割近くから認知していると回答があったとのことです。

しかしながら、その履行においてはまだ不安が多い状況が見られるのが現状であると考えます。

同アンケートによりますと、企業における「熱中症予防・重篤化防止の学習と周知」の実施は23.1%と約2割に留まっており、「熱中症に関する報告体制の構築」が15.2%、「搬送先など緊急連絡先の周知」13.0%といずれも1割台と低い結果が見られます。

また「従前より熱中症対策について就業環境整備に一定の配慮をしてきたが、年々猛暑が厳しさを増す中、現行の対策で十分か再考の余地がある」という意見や「エアコンの新規導入を考えているが、設備投資額が大きいため、補助金を活用できないか情報収集している」という声も紹介されており、周知は広がっていますが、多くの企業において対策の具体的な実施に向けて十分な状況ではない結果が見られました。

私も、先日、周南地域のいくつかの事業所の方とお話させていただく中で、事業所の熱中症対策として屋根に遮熱シートを設置する場合などに何か活用できる補助金や支援策があるでしょうかとご質問をいただきました。

私なりに調べてみますと、厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」や経済産業省の「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」、環境省・経済産業省・国土交通省連携事業の「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」などが活用できるように思ったところです。

国の定める熱中症対策実行計画は、2030年に熱中症による死亡者数が半減することを目指していますが、昨年の全国における救急搬送人員の累計は、調査を開始した平成20年以降で過去最多となりました。熱中症対策は未だ道半ばにあり、私は、まず、国や市町、事業者等がそれぞれの役割を的確に果たしながら、県としても広域的な熱中症対策を推進し、県内全体で熱中症対策の底上げを図らなければならないと考えています。

そのうえで、様々ご紹介したように、事業者が熱中症予防に向けた様々な対策を行うにあたって、どのような支援があるのかといった情報の提供や職場環境の向上に向けた取組へのアドバイスなど事業者へのきめ細やかなフォローアップをしていくことも重要であると考えます。

また、県庁におきましても、一事業者として、この度の改正を受けた体制の整備や手順の作成、関係者への周知が義務付けられており、各現場の実態に即した具体的な対応が求められています。特に、土木建設部や農林水産部など屋外での業務に当たられる職員の方々への熱中症予防対策や出先機関での取り組みについて、熱中症予防対策におけるそれぞれの職務の応じた取り組みを進めていくことは重要なことであると考えます。

熱中症は、重症化すると命に関わることや後遺症を残すこともあり、そして誰にでも起こり得ることですので、庁内の関係部署や市町、関係団体などがしっかり連携し、今回職場における熱中症対策の義務化への対応も含め、熱中症の危険性、予防方法や対処方法、熱中症警戒アラートの発表状況など必要な情報を県民の皆様にお届けし、熱中症に対する意識をより高めていくことが重要ではないでしょうか。

そこでお尋ねします。これから酷暑シーズンを迎え熱中症による健康被害が大いに警戒される中、県では今後、熱中症対策にどのように取り組まれるのかお伺いいたします。

 

知事

熱中症対策の強化についてのお尋ねにお答えします。

近年の気候変動の影響により、熱中症による健康被害が増加傾向にあり深刻化も懸念される中、県民の安心・安全を守るためには、熱中症対策の強化を図ることが重要です。

このため、私は、将来起こりうる更なる気温上昇も見据え、関係課が連携し、効果的に熱中症対策に取り組む体制が必要と考え、昨年4月の改正気候変動適応法の施行に合わせて庁内の連携組織を立ち上げ、現在、これが中核となり、県民への情報提供や予防対策に取り組んでいるところです。

まず、情報提供については、県のホームページにより熱中症の基礎知識や予防方法等について発信しており、熱中症警戒情報など重要な情報についても、県民に迅速かつ確実に届くよう、市町と連携した伝達体制を構築しています。

さらに、熱中症予防に向けては、民間企業と連携したキャンペーンを展開するほか、多くの方に熱中症のリスクを正しく理解していただけるよう、今年度から、「暑さ指数」を測定できる機器の貸出を開始するなど、県民意識の向上を通じた予防対策に取り組んでいます。

こうした中、職場における熱中症対策強化のため、本年6月に改正労働安全衛生規則が施行され、事業者による対応が義務付けられたことから、労働局や関係団体と連携して取組の徹底を図るとともに、県民局の中小企業労働相談員による事業所への巡回訪問等を通じ、周知啓発を行っています。

また、対策支援に関する事業者等からの問い合わせに対しては、県の制度に加え、相談内容に応じて国や市町の制度も紹介するなど、丁寧な対応を行っています。

さらに、事業者である県自らも熱中症対策に迅速かつ適切に対処できるよう、体調不良者を発見した場合の連絡体制や身体冷却等の対応手順を所属ごとに整備するとともに、職員に対しても予防対策の徹底を図っています。

私は、今後とも、熱中症による県民の健康被害の防止に向け、民間企業や関係団体、国・市町と連携して、熱中症対策の強化に取り組んでまいります。

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