一般質問

デジタルインフラについて

2023年6月29日

一般質問③ デジタルインフラについて

データセンターは、デジタル社会の推進に必要不可欠なものであり、本県における多様な産業の集積、持続的な発展、地域経済の活性化に資するものと認識している。

  1. 今後のデジタル社会を見据えて、データセンターの県内への立地について見解を伺う。
  2. ユーザーの近くに設置する小規模のエッジデータセンターは、幅広い分野での活用が考えられ、その普及はスマートシティの推進に影響する。エッジデータセンターの整備促進に向けて企業立地のメニューは活用できるのか、見解を伺う。
  3. グリーンとデジタルを推進するグリーンデータセンターは、データ処理に必要な電力消費量も増大する予測の中で、省エネ化、高性能化、再エネ化を実現していく取組である。本県は優れた立地環境・工業用水や安定した電力供給といった産業インフラも企業誘致の強みとなっていることから、水力発電を活かしたデータセンターの可能性も考えられる。本県のグリーンデータセンターの誘致は検討できないか所見を伺う。
産業労働部長の答弁

デジタル化の進展によるデータ通信量の拡大に伴い、データの蓄積や処理を行うデータセンターは必要不可欠な施設となり、自動運転や遠隔医療等の社会実装が見込まれる中、今後もその需要が高まるものと考えています。県では、市町等との連携の下、リスク分散の適地である本県の優れた立地環境を活かしながら、県内での設置検討を行う企業へ事業用地やインフラ基盤の情報提供を行うなど、その誘致に取り組んでいます。

さらに、地方での立地に向けては、その地域でのデータ需要の確保も重要であることから、IOTの導入促進やデジタル技術を活用した新サービスの創出、IT企業の誘致などのデジタル化の取組によりデータ需要の創出を図っているところです。

また、社会全体で脱炭素化が進展していることから、データセンターにおいても再エネの活用が求められており、お示しのグリーンデータセンターの需要は、今後益々、高まっていくものと考えています。県としては、エッジデータセンターも含めたデータセンターの立地に向け、引き続き、市町や関係機関と連携しながら、誘致の推進に取り組んでまいります。

 

令和5年6月定例会 会議録より

福田吏江子

デジタルインフラについてお伺いいたします。

ご承知のとおり、デジタル田園都市国家構想は、デジタルの力で、地方の個性を生かしながら社会課題の解決と魅力の向上を図り、地方に都市の利便性を、都市に地方の豊かさを実現して、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すものです。

その一つに、総務省、経済産業省の施策として、デジタルインフラであるデータセンターの地方分散を促進しております。

これまでの工業化社会の中でも、鉄道、道路、港湾、空港などのインフラ整備がされることで、より円滑に物が運ばれ、人が移動でき、経済の発展につながりました。これから大量に運ばれるのは情報・データです。

データセンターは、デジタル社会の推進に必要不可欠なものであり、重要なインフラとして、本県における多様な産業の集積、持続的な発展、地域経済の活性化に資するものと私は認識しております。

2022年3月にまとめられたデジタル田園都市国家インフラ整備計画によれば、データセンター整備方針として、国内十数か所の地方拠点を5年程度で整備することが示されており、総額は1000億円を超える整備の補助金が示され、この補助による整備を呼び水とした民間事業者による、地方におけるさらなるデータセンターの整備が施策効果として期待されているところであります。

そこで、1点目として、今後のデジタル社会を見据えて、データセンターの県内への立地について、どのようにお考えでしょうか、ご見解をお伺いいたします。

また、2点目として、エッジデータセンターの整備促進についてお伺いをいたします。

ユーザーの近くに設置する小規模のエッジデータセンターの存在も、これからのまちづくりにおいて着目する価値があると考えます。

エッジデータセンターは、既存のインフラを補完し、幅広い分野での活用が考えられ、その普及はスマートシティーの推進に影響します。

例えば自動運転ですが、自動車は時速60キロで走っているときに、1秒間で約17メートル進みますが、クラウドの場合は国内で約100ミリ秒、0・1秒以内の遅延が発生すると言われており、安全性を担保できないと考えられております。それを、エッジデータセンターなどを活用することにより、1ミリ秒、0・001秒ほどと、体感できないほど遅延を小さくすることができます。

また、工場もエッジデータセンターとの相性がよい分野と言われております。工場にはミリ秒単位での制御が必要な生産設備がありますが、クラウドでデータをやり取りしていたのでは処理が間に合わないことがあり、また、大量のデータをクラウドに送信すると、通信網の増強などが必要になり、コストが増えてしまうことから、工場内にエッジデータセンターを設置するケースもあるようです。

さらに、旅客機、ドローンなどの制御、遠隔医療、オフィスビルやエネルギーマネジメントといった分野でも利用が進むと考えられており、エッジデータセンターの存在によって都市の様相も大きく変化していくと言われております。

現在、GAFAMなどのメガクラウド企業がサービスを提供するコンピューティングリソースは、主に大都市圏に配置されたハイパースケールデータセンター内に収容されています。

しかし、今後、5Gが普及し、動的な要素を含むリッチコンテンツが増えていくに従い、特に地方では遅延の問題が出てくることが予想されております。

これまでのクラウドやSNSに代表される現在のWeb2・0の世界では、まさにそれらプラットフォームを有するメガクラウド企業に利益や情報が集中する仕組みでした。

しかし、その一方で、次世代の分散型インターネットの総称であるWeb3の動きも少しずつ広がっていくものと言われております。Web3の基盤であるブロックチェーン技術を利用することで、現在のようにメガクラウド企業が中央集権的に管理を行う形態とは反対の分散型管理となり、これが将来ビジネスのパラダイムシフトを生み出すかもしれないと言われております。

そこで、これらのことを踏まえて、将来を見据えた話ですが、エッジデータセンターの整備促進に向けて、企業立地のメニューは活用できるのでしょうか、ご見解をお伺いいたします。

最後に、3点目として、グリーンとデジタルの両方を推進するグリーンデータセンターの可能性についてお伺いいたします。

グリーンデータセンターは、経済産業省のグリーン成長戦略の下、推進されており、IoTデバイスやAI需要の爆発的な増加に比例して、データセンターのデータ処理に必要な電力消費量も増大する予測の中で、省エネ化、高性能化、再エネ化を実現していく取組です。

次世代パワー半導体やグリーンデータセンター等の研究開発支援等を通して、半導体・情報通信産業の2040年のカーボンニュートラル実現を目指すと目標設定されております。

その中で、経済産業省のグリーンイノベーション基金事業、次世代デジタルインフラの構築プロジェクト、次世代グリーンデータセンター技術開発において、本県周南市内に立地している企業が、データセンター省エネ化を実現する要素の一つとして、ゲームチェンジとなる可能性を有する次世代の高速・大容量・低コスト不揮発性メモリ技術として、単層カーボンナノチューブを用いた抵抗変化型ランダムアクセスメモリ不揮発性メモリの研究開発を行っており、本県にもゆかりのある分野となっております。

さらに、例えばですが、本県は優れた立地環境、工業用水や安定した電力供給といった産業インフラも企業誘致の強みとなっていることから、水力発電を生かしたグリーンデータセンターの可能性も考えられます。

やまぐち未来維新プランに掲げられている、グリーンとデジタルの両方を推進するものであると考えますが、本県のグリーンデータセンターの誘致は検討できないでしょうか。ご見解をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。

 

産業労働部長

デジタルインフラについての数点のお尋ねにお答えします。

まず、データセンターの県内立地についてです。

デジタル化の進展によるデータ通信量の拡大に伴い、データの蓄積や処理を行うデータセンターは必要不可欠な施設となり、自動運転や遠隔医療等の社会実装が見込まれる中、今後も、その需要が高まるものと考えています。

こうした中で、国内のデータセンターは、都市部に集中し、自然災害等の不測の事態によって、全国規模であらゆる分野の社会経済活動に影響が生じるおそれがあることから、地方への分散配置が求められています。

このため、県では、市町等との連携の下、リスク分散の適地である本県の優れた立地環境を生かしながら、県内での設置検討を行う企業へ事業用地やインフラ基盤の情報提供を行うなど、その誘致に取り組んでいます。

さらに、地方での立地に向けては、その地域でのデータ需要の確保も重要であることから、IoTの導入促進やデジタル技術を活用した新サービスの創出、IT企業の誘致などのデジタル化の取組によりデータ需要の創出を図っているところです。

次に、エッジデータセンターの整備促進についてです。

県では、誘致企業の設備投資等に対する支援や、国や市町の優遇制度を積極的に活用した企業誘致に取り組んでおり、これまでも多くの誘致企業で利用されています。

お示しのエッジデータセンターは、データ処理を利用者の近くで行い、速度と効率を向上させる小型のデータセンターで、データ処理の遅延が大きな影響を及ぼす自動運転等の分野での活用を通じて、地方への分散配置が期待されています。

今後、こうした施設が本県に設置される場合についても、投資規模等の要件に合致すれば利用可能であることから、誘致活動の中で、制度の概要や要件等についても情報提供を行っていきます。

次に、グリーンデータセンターについてです。

社会全体で脱炭素化が進展していることから、データセンターにおいても再エネの活用が求められており、お示しのグリーンデータセンターの需要は、今後ますます、高まっていくものと考えています。

データセンターにおいては大規模な電力確保が必要となることから、県内の水力発電では供給できる電力量に限りがあり、太陽光、風力など他の再生可能エネルギーと組み合わせて活用することが適切と考えています。

このため、グリーンデータセンターの立地をご検討いただける場合には、電力会社が提供している再エネプランを紹介するなど、企業に対するサポートを適切に行ってまいります。

県としては、エッジデータセンターも含めたデータセンターの立地に向け、引き続き、市町や関係機関と連携しながら、誘致の推進に取り組んでまいります。

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