一般質問

県立高校入試について

2025年6月26日

一般質問② 県立高校入試について
~(1) 調査書について~

昨今、調査書における出欠記録の廃止をする議論が見られます。その背景には、生徒本人の責任ではない欠席に対する配慮を求めた文部科学省の通知や、不登校などで欠席日数が多い場合、入試に不利になるのではないかと思う生徒の不安を払拭することがあります。

山口県では、調査書における欠席の評価はどのようになっているでしょうか。また、調査書における出欠の記録の必要性についてはどのようなご所見でしょうか。

~(2) 併願制について~

現在、国では併願制の導入に向けた検討が進められています。子供たちの可能性を開く入試制度となるよう、議論の深まりを期待したいと考えます。

県教委としては、併願制のメリット・デメリットや山口県において考えられる課題について、どのように捉えているでしょうか、ご所見をお伺いします。

副教育長の答弁
~(1) 調査書について~

入学者選抜においては、生徒を多方面に評価することが重要であり、本県では、学力検査の得点だけでなく、調査書も重要な選抜資料としています。

お尋ねの「出欠の記録」については、中学校での生活や、学習の状況を理解するために必要であると考え、記載事項の一つとしているところです。

その上で、出席日数のみをもって、不利益な取扱いをしないこととしており、長期欠席者等のうち、希望する者については、欠席の理由や志望動機などを記載した「自己申告書」を提出してもらい、個人面接において説明する機会を設けることで、中学校時代の努力の成果や、高校で学ぶ意欲を適切に評価しているところです。

~(2) 併願制について~
《メリット》

⇨複数校への志願が可能となるため、希望する学校に、より積極的に挑戦できるようになることが想定。

メリット》

⇨高校の序列化につながることや、学力偏重の傾向が強まっていくこと、生徒が志願する学校に偏りが出ることなどが想定。

本県においては、中学生の普通科志向が強い中、専門学校への入学者の減少が見込まれることや、併願で複数校を受験する場合の面接等の実施方法、さらに、生徒の能力、意欲、努力の成果等を、多面的に評価できる選抜制度をどのように構築するかなどが課題になると考えています。

県教委といたしましては、入学者選抜に関する、国や他県の動向についても情報収集に努め、引き続き、本県にとって望ましい選抜制度のあり方を検討してまいります。

 

令和7年6月定例会 会議録より

福田吏江子

県立高校入試についてお尋ねいたします。

山口県では、公立高校入学者選抜において、調査書を重視されています。

これは令和7年度山口県公立高等学校入学者選抜実施大綱の中に示されており、第一次募集の選抜方法として「高等学校長は、選抜にあたっては、調査書を重視する。その際、調査書の〈学習の記録〉と学力検査の成績は同等に取り扱うとともに、調査書の〈学習の記録〉以外の記載事項及び面接、小論文、実技検査の結果等も十分考慮する。」とあることから、入試当日の学力検査だけではない選抜方法であることがわかります。

さらに、文部科学省の高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査によりますと、山口県の調査書には、「各教科の学習の記録」「観点別学習状況」「行動の記録」「出欠の記録」「総合所見及び指導上参考となる諸事項」が記入事項として挙げられていることから、その調査書においても、学習の成績以外での日々の行動や生活習慣、課外活動の成果なども反映されていると考えます。

中学校生活について多様な視点をもとに評価が行われ、生徒一人一人の適切な進路へと繋がるように取り組まれていることと思います。

その中で、昨今、調査書における出欠記録の廃止をする議論が見られるようになりました。

前述の文科省の調査によりますと、公立高校入試の調査書において出欠の記録がない都道府県は、令和6年度入試時点で東京都、神奈川県、大阪府、奈良県、広島県の5都府県でしたが、令和7年度入試から福井県と岐阜県が出欠の記録を廃止し、また愛知県や新潟県においても廃止について検討を進められるとのことです。この出欠の記録の廃止の背景には、月経困難症やヤングケアラーなど生徒本人の責任ではない欠席に対する配慮を求めた文部科学省の通知に基づいて決定されたということや、不登校などを理由として欠席日数が多い場合、入試に不利になるのではないかと思う生徒の不安を払拭するためであることがみられました。

都道府県ごとに選抜方法や学力検査結果と調査書の活用方法も異なるため、出欠の記録の是非について一概には言えませんが、山口県で不登校の中学校生徒の出現率が全国数値を上回るなど増加傾向にある中で、進路への不安がさらなる心の負担となる悪循環へと繋がらないことを望むばかりです。

そこでお尋ねいたします。

山口県では、調査書における欠席の評価はどのようになっているのでしょうか。長期欠席者等のうち、入学者選抜にあたり希望する志願者は自己申告書の提出が可能とされており、自己申告書を提出した場合に自己申告書に係る面接を実施するとありますが、これは長期欠席による不利益を被ることがないように配慮されているためと考えます。

このような必要な配慮が講じられておられますが、その中で調査書における出欠の記録の必要性についてどのようにお考えでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

 

次に、併願制についてお伺いいたします。

現在、ほとんどの都道府県において、公立高校は1人1校の出願とする単願制が採用されていますが、今年の4月から国の関係省庁において、複数の公立高校に出願できる併願制について、その導入に向けた検討が進められています。

この併願制導入のねらいとして、高校授業料の無償化で、特に首都圏や関西圏の都市部において、私立校の人気が高まりを見せる中で、公立校を選びやすくすることにあると言われていますが、都市部以外でも広く受験生にとって、これまで様々な事情を鑑みて合格できそうな学校へと出願せざるを得ない状況から真に志望する学校への受験に挑戦できるようになるメリットがあると考えます。

また、愛知県や兵庫県ではかねてより併願制を導入されていることから、その取り組みから見える課題についても参考になると考えます。

また、デジタル技術を活用し、試験結果などを基にして進学先を割り当てるシステムについても提案がなされています。これは、受入保留アルゴリズムと呼ばれ、受験生が真に志望する高校の中から合格基準を越えた学校へ進学することができるとともに学校側の事務負担の軽減にもなることが示されています。

このアルゴリズムはすでに、研修医の初期研修先決定や保育所の利用調整に活用されている事例があるとのことです。

併願制導入について国は意欲ある自治体での試行実施を経て、広く採用を促していくとのことでありますが、子供たちの可能性を開く入試制度となるよう、今後の検討が進む中での議論の深まりを期待したいと考えます。

そこでお尋ねいたします。

公立高校の併願制の導入について、国において検討が進められているところですが、県教育委員会として、併願制のメリット・デメリットや山口県において考えられる課題について、どのように捉えられているでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

 

副教育長

県立高校入試についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、調査書についてです。

入学者選抜においては、生徒を多面的に評価することが重要であり、本県では、学力検査の得点だけでなく、調査書も重要な選抜資料としています。

お尋ねの「出欠の記録」については、中学校での生活や、学習の状況を理解するために必要であると考え、記載事項の一つとしているところです。

その上で、出席状況のみをもって、不利益な取扱いをしないこととしており、長期欠席者等のうち、希望する者については、欠席の理由や志望動機などを記載した「自己申告書」を提出してもらい、個人面接において説明する機会を設けることで、中学校時代の努力の成果や、高校で学ぶ意欲を適切に評価しているところです。

次に併願制についてです。

まず、現在、国で検討されている公立高校の併願制のメリットですが、複数校への志願が可能となるため、希望する学校に、より積極的に挑戦できるようになることなどが考えられます。

一方、デメリットとしては、高校の序列化につながることや、学力偏重の傾向が強まっていくこと、生徒が志願する学校に偏りが出ることなどが想定されます。

また、本県においては、中学生の普通科志向が強い中、専門高校への入学者の減少が見込まれることや、併願で複数校を受検する場合の面接等の実施方法、さらに、生徒の能力、意欲、努力の成果等を、多面的に評価できる選抜制度をどのように構築するかなどが課題になると考えています。

県教委といたしましては、入学者選抜に関する、国や他県の動向についても情報収集に努め、引き続き、本県にとって望ましい選抜制度のあり方を検討してまいります。

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