2023年12月7日
一般質問① 多胎児の家庭に対する支援について
<多胎児とは>
ふたごやみつごなどのお子さんを指す言葉です。
<多胎児家庭の大変さ>
- 外出がとても大変である
- おむつとミルク代だけでも月10万円かかる
- おむつ替えや授乳の回数も、通常の倍となる
- お風呂や寝かしつけに時間が多くかかる
- 夜泣きの連鎖が起こり寝られない
- 揃って同じ園に入園できるか不安
多胎児家庭では、多子世帯の子育てともまた違った大変さがあります。
国の調査研究報告書では、小規模自治体では多胎児支援の事業化が難しいという課題があることが示されています。
どの自治体に住む方でも支援が受けられるよう、山口県においても広域での共同の事業化が進められないか、県のご見解をお伺いします。
健康福祉部長の答弁
多胎児のいる家庭は、同時に2人以上の妊娠・出産・育児をすることに伴う、身体的・精神的な負担が大きく、また、社会からも孤立しやすいことから、妊娠中から保護者に寄り添ったきめ細やかな支援を行うことは重要です。
<現在の県の取り組み>
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情報の共有化
市町の担当者等の専門的知識や技術の向上に向けた研修会を開催、各種会議等における事例発表や意見交換の実施
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精神的負担の軽減
低体重で生まれた子ども一人ひとりの成長に合わせて、発育状況等を記録することができる手帳を作成
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交流の場づくり
多胎児家庭を応援する活動を行っている団体に対し助成し、社会から孤立しやすい多胎児家庭の交流の場づくりを支援
<今後の取り組み>
医療機関や市町の母子保健担当者が参加する連絡調整会議を県内3ブロックで開催し、市町の連携・共同による多胎児家庭への支援の取組が進むよう、助言を行うとともに、市町の状況に応じた必要な調整をしてまいります。
令和5年11月定例会 会議録より
◆福田吏江子
多胎児の家庭に対する支援について質問いたします。
多胎児とは、双子や三つ子などのお子さんを指す言葉で、その育児をされている家庭は多胎児家庭と言われております。
多胎児の出生率は総分娩数の約1%となっており、山口県においても保健統計年報によりますと、令和元年の統計で出生数8771名のうち多胎児数は186名、令和2年の統計で出生数8203名のうち多胎児数は216名、令和3年の統計数で出生数7978名のうち多胎児数は160名となっております。
多胎児家庭では、多子世帯の子育てともまた違った大変さがあると言われております。双子の子育てをされているご家庭に実際の育児の状況をお聞きいたしますと、特に多かったのは、外出がとても大変であるという意見です。
外出時に一人の親が乳幼児を二人連れて歩くことは困難で、だっこも一人で二人の子供をだっこできないためベビーカーが必要であること、そして多胎児では通常よりベビーカーが大きくなり、10キロないし15キロと特に女性にとっては重く、車から出し入れするにも駐車場のスペースが必要となることから、多胎児の場合はベビーカーを使う2、3歳くらいまで、やまぐち障害者等専用駐車場のスペースに止められたら助かるという具体的なご意見もありました。
通常の駐車場では、双子用のベビーカーを広げるスペースまで持っていき、一人ずつ車からピックアップしていくことになり、大変危険であるというお話をお聞きしました。
また、一人の具合が悪くなったときに病院に行くのも大変であること、あるいは風邪を引いたらもう一人も絶対にかかるというお話や、病院での待ち時間の状況が分かるようになると助かるというご意見や、どうしても一人だけは留守番させなければならないなど、何か困ったときに付近住民などを含めて地域で助けてくれる状況がつくれると助かるというご意見がありました。
さらに、チャイルドシートやベビー用品が一気に2倍使用となること、おむつ代で月4万円ないし5万円、ミルクが1週間で2缶使い5千円というように、おむつとミルク代だけでも月に10万円かかるという経済面でのご意見から、負荷のかかり具合が一遍に来るということで、多子世帯とは異なる状況が見られました。そのため、おむつやミルク、おしり拭きなどの消耗品に使える費用補助があると助かりますというご意見もありました。
そして、経済的なことだけではなく、おむつ替えや授乳の回数、ミルクの準備などが双子の場合でも通常の倍となること、お風呂や寝かしつけに時間が多くかかること、二人同時に寝ないということや夜泣きも一人が泣くともう一人も泣くという連鎖が起こり寝られないという状況があります。
あるご家庭の方からのお話でも、授乳は3時間サイクルだが二人同時に同じタイミングでそろうわけではないため、夜中は夫婦で時間交代制にして、母乳だけでなく粉ミルクの活用にしないと母親が寝られなくなってしまうのだということをお聞きしました。
また、保育所に入所するにも二人分の枠が必要となり、そろって同じ園に入園できるだろうかという懸念もお聞きしました。多胎児家庭ならではの悩みがあるが、双子や多胎はあまり多くないので、同じ悩みを抱えているであろう他の多胎児家庭の人たちとのコミュニティーがつくれると心強いのではないかというご意見もありました。
このように、多胎児家庭に係る実情を様々お伺いしているのですが、国の提示する支援事業の実地主体は市町村であります。そして、各市町村の判断によって制度導入の有無が生じているのが現状です。
例えばですが、国において令和2年度に創設された、多胎妊産婦等サポーター等事業は、2歳程度までの多胎児を育児する妊産婦やその家庭の元へサポーターを派遣し、外出時の補助や日常の育児に関する介助を行うという事業ですが、令和3年度ベースで、全国で実施している自治体数は71自治体で、本県では周南市が取り組んでいるほか、山口市と宇部市が交流の場づくりである、多胎ピアサポート事業に取り組んでおり、本県では、この3市において、多胎児家庭を対象とした事業が実施されている状況です。
令和3年3月に出された国の子ども・子育て支援推進調査研究事業による多胎児の家庭等に対する子育て支援に関する調査研究報告書によりますと、特に多胎児の出生数が少ない小規模自治体では、多胎児家庭に対する支援の事業化が難しいという課題があることが示されております。
このことから、京都府では、医療との連携推進に当たって、契約書ひな形や各種様式の作成、単価調整等の支援を府が実施し、府内市町村が補助事業を実施しやすくする取組を行っていることや、岐阜県や石川県でも多胎児家庭に対する支援の取組をやや広域となる県内4ないし5程度の圏域別に行うなど広域での対応がなされているなど、都道府県が積極的に関与・支援している事例が報告されております。
私は、どの自治体にお住まいの方でも支援が受けられるよう、山口県においても医療圏など広域での共同の事業化が進められないかと考えます。県において、県内市町で多胎児家庭への支援策が普及するように促していくことを図れないでしょうか。多胎児の家庭に対する支援について、本県のご見解をお伺いいたします。
◎健康福祉部長
多胎児の家庭に対する支援についてのお尋ねにお答えします。
多胎児のいる家庭は、同時に二人以上の妊娠・出産・育児をすることに伴う身体的・精神的な負担が大きく、また、社会からも孤立しやすいことから、妊娠中から保護者に寄り添ったきめ細やかな支援を行うことは重要です。
このため、県では、各市町が行う産前産後ケアの充実が図られるよう、市町の担当者等の専門的知識や技術の向上に向けた研修会を開催するとともに、各種会議等において、県内で行われている多胎児支援の取組についての事例発表や意見交換を行うなど、情報の共有化を図っています。
また、多胎児は、低体重で出生するケースが多く、その保護者は子供の成長や発達に不安を抱えているため、昨年度、低体重で生まれた子供の一人一人の成長に合わせて発育状況等を記録することができる手帳を作成したところであり、その活用により、保護者の精神的な負担の軽減を図っています。
加えて、民間資金等による子ども・子育て応援ファンドを活用し、多胎児家庭を応援する活動を行っている団体に対し助成を行うことで、社会から孤立しやすい多胎児家庭の交流の場づくりを支援しています。
今後は、こうした取組に加え、医療機関や市町の母子保健担当者が参加する連絡調整会議を県内3ブロックで開催し、市町の連携・共同による多胎児家庭への支援の取組が進むよう助言を行うとともに、市町の状況に応じた必要な調整をしてまいります。
県としましては、多胎児の家庭をはじめとした子育て家庭が安心して子供を産み育てていけるよう、市町や関係団体と連携し、子育て家庭に寄り添った支援の充実に取り組んでまいります。






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