活動報告

視察報告

平成30年1月31日 沖縄こどもの国 OKINAWA ZOO&MUSEUM

沖縄こどもの国の取組を学ぶ

【沖縄こどもの国の概要】

○設立の経緯

沖縄こどもの国は、沖縄が本土復帰するにあたり何か地元の子供たちにプレゼントができないかという発想のもと本土復帰記念事業の一環として、昭和47年に財団法人が設立され開園されました。オープン当初は、動物はたぬき3頭のみで公園のような施設でしたが、徐々に動物を増やしし、沖縄県内で初めて設置された動物園となりました。

平成2年に併設して県内唯一の遊園地がオープンした際は入場者数が激増しましたが、バブル崩壊も伴って平成11年に経営悪化のため遊園地が閉館となりました。平成16年のリニューアルオープンにあたり園長が公募され、前年よりも1人でも良いから来場者を増やそうという民間的な姿勢でサービスの向上や充実を図る取り組みが進められました。また科学について知ってもらおうという主旨のもと「ワンダーミュージアム」が設立されました。また、沖縄こどもの国を支援するボランティアの活動拠点として「チルドレンズセンター」が設置されています。1階にはレストランや読み聞かせ事業等が実施される「えほんの国」があり、2階は「IT工房」となっています。

平成24年に公益財団法人化され、より教育施設的、生涯学習施設的になるよう取り組みを進められています。

○施設概要

全体は大きな公園のようになっていました。その中に動物園エリアがあり哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、琉球弧に生息するめずらしい動物たちを含め約200種類の動物がいます。動物エサあげ体験やふれあい広場、在来家畜コーナーや乗馬体験コーナーなどがあり、施設内には大きな湖があり、水とみどりの広場として野外ステージも設置されています。水鳥を眺めながら水上園路を散歩でき、バードウォッチングデッキではボートに乗ったり、釣りを楽しむことができるようになっています。ふるさと園では、沖縄の気候風土に適するように造られた明治末期から大正にかけての農家を復元されています。先人たちの文化遺産を再現するとともに文化事業に施設を利用してもらうことで、地域の風俗、習慣、歴史を学ぶ機会となることを目的につくられたとのことでした。家屋などは国の登録有形文化財に登録されています。乗り物コーナーでは、機関車やメリーゴーランド、3D立体映像などが楽しめます。チルドレンズセンターは、入場ゲートを通過せず無料で利用できるスペースであり、沖縄こどもの国を応援するボランティアの募集であったり、みらいスクールや沖縄魅力発見講座など各種講座が開催されています。ワンダーミュージアムは、平成16年に設置され、平成26年にリニューアルオープンされました。実際に触れて体験することができるハンズオン展示やワークショップ、体験プログラムを通じて子供たち自身が自ら不思議や驚きを体験できるしくみになっています。1階は「身近なものごとの中にあるふしぎをみつけよう!」というテーマの『きづきの森』、地下1階には「ボールのいろいろなうごきを試してみよう!」の『ボールサーカス』、地下2階には「からだをつかって映像を動かしたり、想像力をはたらかせて、色や形を自由に描こう!地球のふしぎを感じ未来を考えよう!」の『そうぞう工房』が常設展示として設置されていました。

【入場者数を増やすための工夫】

2004年のリニューアルにあたり園長を公募し、その後、園長のリーダシップのもと民間的な姿勢で取り組むことができていることが入場者数が増えている要因と考えているというお話でした。またアジア圏の観光客が近年増えていることも要因の一つであるとのことでありました。これまでは、沖縄県内の地元の子供たちのための施設として存在しており外向けにPR活動をしてこなかったが、近年は14%がインバウンド客となっていることもあり、沖縄市からも国内向け海外向けのPRをしてほしいと要望があったとのことです。

入場者の傾向として、約80%が地元・沖縄県内からの来場、14%が海外から、5%が基地内から、1~2%が国内からの来場とのことでした。イベントの充実として、5月大型連休の中のこどもの日のイベント、夏休み毎週土曜日のサタデーズナイト、クリスマスの夜間開園クリスマスファンタジー、2~3月に開催される花まつりの4大集客シーズンに力を入れられており、体験プログラムは月ごとに内容を変えられています。営業活動として様々なところに出向いていたり、団体や自治会、企業などへDMを送ったり、学校へお知らせなどをチラシで配布することや、那覇空港に大きな看板を設置し、また旅行業者と提携してクーポン付にしている(ただし動物園は単価が低いためあまりメリットがないとのことでした)などの取り組みをされています。動物園の入場者は平成28年度でおよそ45万人で、そのうちの4割の17万8,000人がワンダーミュージアムに入場しています。平成29年度の入場者数の実績見込みは48万人であるとのことでした。

ワンダーミュージアムは、動物園の入場料とは別途に入館料を必要としています。これは、絶対に入館料は取るべきだという園長の強い意志のもと市との交渉を経て実現していることです。入館料を初めから無料にしておくと後に課金すくことができなくなるからということでした。ただし、沖縄市の子供たちにはパスチケットが教育委員会から配布されており、市内の小学生は動物園もワンダーミュージアムも無料で入場することができるようになっています。遊園地は、これまで本土の民間企業が運営していたが、バブル崩壊の影響もありリニューアルのときに撤退され、一部メリーゴーランドやミニ機関車をそのまま残した形で運行されています。乗り物の収益はとても大きいとのことです。

現在の沖縄市長は「こどもの国を日本一ユニークに」という公約を掲げており、今よりも2倍の敷地面積になるよう隣の市と交渉中であるとのことでした。

【こどもの国の「花まつり」】

一番印象に残ったことは、2月~3月にこども園内で開催される「花まつり」です。

一か月間こどもの国の園内に多くの花が展示されます。毎週土曜日日曜日に先着100名に季節の花の種がプレゼントされたり、「ももいろびより」という子供たちの健やかな成長を喜び健康を願うことをコンセプトとしたひな祭りイベントの開催、はなさくマルシェ、植物のある暮らし講座のワークショップ、「花まつり」最終日には会場内の一部エリアに展示された花のポット苗を1セット500円で袋につめて持ち帰ることができる「花のつめほうだい」が行われます。毎年大変な人気で、多くの方が来場されるとのことでした。

周南市で開催されていた花☆ワイン周南まんま市場でも花苗の配布は大変な人気でした。沖縄こどもの国で開催される「花まつり」は多くの方が来場するきっかけとなり、こどもの国への入場料にも繋がることから、収益にもつながる良い手法であるように思いました。

【ワンダーミュージアム】

また、ワンダーミュージアムは展示がとても充実しており、大変よい施設であるように思いました。視察当日も施設内で子供たちが勢いよく遊んでいて、見たり聞いたり触れたり試してみたり、動いてみたり、考えるなど様々な活動を行っていました。子供たちにとって、体験的に学ぶというのはとてもよいことであると実感しました。ボールサーカスが時に人気であるように思いました。また映像の中に自らが入る仕組みになっている展示も人気でした。全体的に学習施設としてとても良い印象でしたが、説明が足りないところが気になりました。「なぜこのようになるのか」など問題提起される言葉があったり、もう少しくつろぎながら考えられるスペースなどがあっても良いように思いました。現象についての説明文などがあまりない設置されていないのも意図されたことと考えますが、体験したことがただ「楽しかった」で終わらないような促しができたらもっと良いのではないかと思いました。

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