活動報告

視察報告

平成30年1月30日 那覇市国際通りトランジットモール事業

那覇市国際通りの取組

【トランジットモールの概要】

○実施区間

国際通り(県道牧志39号)約1.6kmのうち、約1.3kmの区間

○実施期間

毎週日曜日の12:00~18:00

(ただし、雨の日や年末年始・他のイベント開催で特別に交通規制がかかる場合等、実施しない日が定められている)

○実施内容

・誘導員を配置して一般車両の通行を規制し、歩行者に開放する。

・数か所のパフォーマンスエリアを設け、イベント(エイサーや大道芸など)を開催する。

・オープンカフェや宣伝事業など直接の物販以外の取り組みを行う。

・個店による子供たちの遊び空間の創出など、独自の取り組みを行う。

・区間内移動手段として、トランジットバス(通常運行しているひとつの路線バス)・ベロタクシー(自転車タクシー)が走行。

【実施後の効果、市民や観光客の満足度】

国際通りを含めた中心市街地の通行量調査では、導入前(H18)では平日の通行量が休日よりも多かったが、導入後(H19)は休日の通行量が平日を上回ったとのことでした。また、全体的な通行量が平日休日ともに過去3か年において増加傾向となっていました。トランジットモール時の通行量は2万人程度と一定の水準を保っているとのことでした。

平成28年の来街者アンケート調査では、6割の方がトランジットモール必要としており、多くの方が現状維持を望んでいるとのことでした。しかし、イベントのマンネリ化や交通の利便性をもっとよくしてほしい等の意見も見られ、より良い環境を望んでいることがわかります。

また、一部の店舗からは売り上げに繋がらないとの意見もあり、トランジットモールの在り方について市が中心になって検討が行われているとのことでした。

【課題と今後の展開について】

トランジットモール内で実施されているイベントのマンネリ化や夏場の暑さ対策、車道での収益事業の確立、実施主体(運営主体:那覇市国際通り振興組合連合会)の自走化、商店街や周辺店舗の経済効果が課題となっています。特に、運営主体である那覇市国際通り振興組合連合会は4つの商店街組合の連合組織であり、意見の取りまとめに苦慮していることや連合会の資金繰りが厳しく運営費用の工面が大きな負担となっているとのことです。

今後の展開として、トランジットモール導入までは関係者で構成された委員会の場で魅力ある歩行空間や商環境について議論を重ねていたことが、導入後は、課題が生じても解決に向けての議論の場がなく課題がそのままになっている現状を踏まえ、市の委託事業「国際通りトランジットモールビジョンづくり支援事業」を平成29年度に実施されています。この事業で、商店街の中のいろいろな意見を受け、課題や提言を分析し、今後の方向性を協働で策定し、関係機関と連携して課題に対する取り組みを検討したいとのことでした。

また、担当課の話では、新たな取り組みとして、台湾の夜市のような夕方からのオープンカフェをしたいという案がありました。沖縄の人は夜に活動する傾向にあり、夏場の暑い時期に実施できたらと検討されているとのことです。これは面白い取り組みになりそうだと思います。

【国際通りを歩いてみて】

那覇市の国際通りでは、多くの商店やお土産屋さんなど主に観光客を対象とした店舗が車道を挟んだ両側の道沿いに並んでおり、また、百貨店や飲食店など地元の住民が日常利用するような店舗も見られました。車道沿いにもかかわらず、入り口のドアや通りに面した壁がなく、オープンなつくりになっている店舗が多い印象を持ちました。観光客が多く、初めてのお客さんもお店の中に気軽に入れる雰囲気づくりができているように思います。お店への出入りがまるで、ショッピングモールの中のような気軽さになっていると感じました。よく商店街でみられる個人商店は買い物客がドアを開けて入り、入ったら何か買わないといけないのではないかとか、何が売ってあるのかよくわからないから入りづらいということも考えられ、敷居が高いというイメージがあるように思っていたので、オープンな店構えになっているのは良いと思いました。

トランジットモールを毎週日曜日に実施することは、運営としてとても大変なように思いました。また回数が頻繁になるにつれて、マンネリ化する傾向になることも理解できます。

【周南市の「徳山あちこちマルシェ」への展開】

周南市においても「徳山あちこちマルシェ」が何回か実施されており、商店街の活性化につながっていると感じています。「徳山あちこちマルシェ」ではパンや雑貨、本、お酒と様々な手法で開催されています。マルシェや商店街でのイベント等にこれまでよりも多くの方が参加し、特に子育て世代の方々がお子さんと一緒に中心市街地に足を運んで来ているように思います。那覇市の国際通りトランジットモール事業でも子育て世代や地元の方々をメインターゲットに位置付けて開催しているとのことでありました。この度の事業は、親子連れや地元の方々にとって、来て楽しい魅力ある中心市街地へ寄与できるような取り組みとして、大変参考になりました。

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